血糖値のお勉強の始まりの始まり。

血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことを言います。食物が摂取されて血糖値が上がると瞬時に膵臓からインスリンが分泌されます。
このインスリンの分泌量が少なかったり、十分な量が分泌されていても働きが悪いと慢性的な高血糖の状態が続きます。これが糖尿病です。
血糖は食事の影響を受けやすく、食後に高くなります。その他、発熱や過度の痛みやストレスでも高くなります。
血糖は極端に高すぎたり低すぎたりすると昏睡を起こします。
糖尿病の診断には空腹時あるいは食後2時間の血糖値を調べますが、はっきりしない場合はブドウ糖負荷試験をして調べます。
正常値は空腹時で110mg/dl以下です。
随時に採血した血糖が200mg/dl以上なら糖尿病型とよばれ、別の日にもまた200mg/dl以上なら糖尿病と診断されます。
 [ブドウ糖負荷試験]
  75gのブドウ糖を飲んでいただき、負荷前と負荷後30分、60分、120分の血糖値と
  尿糖値を測定します。負荷前と負荷後30分にはインスリン量も測定します。
  血糖とインスリンを同時に測定することによりインスリンの分泌不足(量不足)
  によるものなのかインスリン抵抗性(作用不足)なのかがわかります。

 
 
血糖値(mg/dl)
結果の解釈
正常型
空腹時血糖値
110未満
両者を満たすもの
正常型とする
負荷後120分
血糖値
140未満
糖尿病型
空腹時血糖値
126以上
いずれか満たすもの
を糖尿病型とする
負荷後120分
血糖値
200以上
  * 正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型とする。
日本糖尿病学会:糖尿病診断基準委員会会報1999


<尿糖値>
尿は血液が腎臓で濾過されて尿管をとおり膀胱で一時的に貯められたのち尿道を通って排泄されます。
血液の中の糖は腎臓の糸球体で一旦すべて濾過されます。そして細尿管で再吸収されています。ところが、血糖がある値の壁を越えると再吸収しきれなくなり尿中に糖が排泄されてきだします。この壁を腎臓の糖排泄「閾値(いきち)」といい、通常170〜180 mg/dlです。つまり、尿糖が出ていなければ一般的に血糖値は180mg/dl以下であると言えます。しかし閾値が低い場合には血糖値が100 mg/dl 程度でも尿に糖が漏れます。これは尿に糖は出ていますが、糖尿病ではなく腎性尿糖と呼ばれます。
尿糖は腎臓で濾過されるのに時間がかかるため、血糖より約30分遅れて出てきます。また、膀胱の中で一時的に貯められるため、正確な値を知るためには測定の20〜30分前に一度排尿して膀胱をカラにします。そしてカラにしたあとに貯まった尿で尿糖の検査をします(2回採尿法(図参照)といいます)。尿量が少なくても尿糖はわずかな量で検査できますので大丈夫です。尿検査は痛みもなく繰り返し行える優れた検査です。

 

<HbA1c、グリコヘモグロビン>
HbA1cとはブドウ糖と結びついたヘモグロビン(血色素)で、現時点より過去1〜1.5ヶ月間の平均血糖値を反映しているため、患者さんの生活や症状を把握するために糖尿病の治療コントロールの良否にはかかせない検査です。
HbA1cは血糖と違い、食事の影響を受けないため食前・食後を問わずいつでも検査ができます。したがって、糖尿病の患者さんは常日頃から摂生していないと検査の前だけ食事を控えてもこの検査をすれば日頃の不摂生がバレてしまいます。 正常値は4.4〜5.8%です。
HbA1cを常に6.5以下にきちんとコントロールできていると、網膜症・動脈硬化・腎症・末梢神経障害といった糖尿病による合併症をかなり防ぐことができます。6.5%が糖尿病治療の第一目標です。第一目標が達成できたら、さらに基準値(5.8%以下)に下げましょう。